第36章 最悪
美緒の鞄から家の鍵を取り出して部屋の中に入った。
そのまま寝室に向かい、美緒をベットに置いたが
それでもこいつは眠ったままだった。
初めてみる美緒の寝顔は
瞼は泣きまくっていたせいでかなり腫れて赤くなっていたが…めちゃくちゃ可愛く見えた。
……やべぇな…………
好きな女の部屋の寝室に2人きり…
萩原には襲わないとか偉そうな事を言ったが
正直このままそばにいると手を出してしまいそうだ…。
俺はリビングのソファーを借りて寝ようと思い、
立ち上がった途端美緒が少し身動いだ。
『…ん……。…れ……いく……ん……」
「っ……。」
くそっ…………!
「あんなに泣かされたってのに……
そんなにあいつが好きなのかよ……!!」
美緒は今だに眠っているのでもちろん返事はない。
俺は再び美緒のそばに近寄り、頬を撫でた。
「ごめんな…美緒。お前のこと…諦められねぇ。」
本当に最低だと思うが……
俺はそのまま美緒の口にキスをした。
一回でやめるつもりが
美緒の唇がすげぇ柔らかくて、もっと味わいたくて…
俺は眠っている美緒に何回も口付けた。
頭ではダメだと分かってるのに止まらない。
……もっと…美緒が欲しい。
「美緒……好きだ…。」
『…れい……く、ん……。』
…何やってんだ、俺は…………。
美緒がゼロの名を再び寝言で呼んだ瞬間、
頭が冷えて俺は美緒に布団をかけて寝室を出た。
ソファーに寝転がって眠ろうとするが
さっきのキスの感触が忘れられなくて
俺は朝方近くまで眠りにつくことができなかった。