第35章 強盗
先日の公安警察との稽古から1週間が経ったが
わたしは相変わらずモヤモヤした気持ちのまま過ごしていた。
…なんで零くんの彼女である私に
わざわざ宣戦布告してくるわけ!?
それほど零くんを奪う自信があるってこと!?
…確かに私より零くんに会う頻度は多いだろうし
零くんもひょっとしたら、もっと身近にいる女の方がいいんじゃ……
…っ……
だめだだめだ!マイナス思考ばっかり!!
こんなの零くんを信じてないのと一緒じゃん!
しっかりしろ私!!
あんな宣戦布告されたくらいで弱気になってどうする!
私が机にゴンっと頭をぶつけて突っ伏していると
隣で仕事していた葉山がわたしに声をかけた。
葉「お前……大丈夫か?
なんかすげー不細工な顔でむくれてると思ったら
急に頭ぶつけ出すし…。」
『…大丈夫。ただ邪念を追っ払いたかっただけだから。』
葉「……こえーよお前…。本当に大丈夫か?」
葉山はわたしを変な目で見ていたが、
時計を見るとそろそろ警護に行く時間になったので
わたしは事務所を出て、クライアントの所へ向かった。
今日の警護対象は、とある企業のオーナーで
何回か警護したことのある人だ。
オーナーがいる場所へ歩いて向かう途中…
前方から零くんが私服姿で歩いてきて
その隣には、同じく私服姿の今1番顔を見たくない立花さんが一緒に歩いてきた。