第34章 特訓
side 降谷
ポアロでの閉店業務を終えてから
残っている仕事を片付ける為、警視庁へ向かった。
今日は美緒が僕の部下達に稽古をつけてくれる日だったけど、特に問題なく終わったのだろうか…。
警視庁に到着していつもの仕事部屋に入ると、
顔や腕が傷だらけの部下達が目に入った。
風「降谷さん、お疲れ様です。」
僕に声をかけてきた風見も、顔が少し腫れていて
頬にガーゼを当てている状態だった。
「その顔…一体どうしたんだ?
他の部下達もみんな怪我してるじゃないか。」
風「若山さんに……容赦なくやられました。」
美緒が…?
あいつがここまで本気を出すなんて珍しいな…。
「何か怒らせるような事でもしたのか?」
風「立花が少し……若山さんに突っかかってしまって…。それで機嫌を損ねたようでした。」
立花か……
あいつはかなり優秀な女性捜査官だが
どうやら僕に好意を抱いているようで
おそらくその事で美緒と揉めたんだろうと察しがついた。
「美緒は……何か言っていたか?」
風「ひたすら、ムカつく!とだけ言っていました。」
「ははっ、あいつらしいな。」
きっといつもよりムッとした顔で言っていたんだろう。
美緒のその顔を想像するだけで、可愛くて顔がニヤけそうだ。
風「笑い事じゃないですよ!
そのおかげで私達は傷だらけなんですから。」
「あいつを怒らせるとそう言う目に合うって勉強になっただろ?
これからは気をつけるんだな。」
風「…。」
風見は何か言いたそうに僕を見ていたが、
それには気づかないフリをして美緒にメールを送った。
【今日は部下達の相手をしてくれてありがとう。】
送ってからすぐに美緒からの返事が届いて
僕はそのメールを見て再びニヤけてしまった。
【もう二度とやらない!】
…明らかに拗ねている美緒が可愛すぎて早く会いたくなった。
今度会った時は、稽古をしてくれた礼と
立花に嫉妬して拗ねている美緒の機嫌取りをしようと決めて、僕は気持ちを切り替えてから仕事に戻った。