第32章 拉致
今回は頬を平手打ちされただけなので
病院では殴られた頬を冷やしながら、切れた口の端に絆創膏を貼ってもらうだけの治療で済んだ。
手首は鎖で縛られていたから少しだけ赤くなってるけど、そこまでひどくなかったのですぐに治るとのことだった。
零くんは私の処置が終わるまで待っていてくれて
その後は車でアパートまで送ってくれた。
今日はまだアグバロスの組織を潰した後処理をしなければならないそうで、わたしを送った後、零くんは再び仕事に向かった。
スマホも返してもらえたので
社長に報告をする為、部屋に入ってから電話をかけた。
どうやら社長達も、警護をしてくれていた公安の捜査官から組織の連中が捕まったことを聞いていたそうで
私はさっそく明日からでも出勤します!って言ったんだけど
念の為、明日までは休めと社長命令を下されてしまった。
なので明日は避難していたマンションの片付けでもやろうかな…と決めて
今は久しぶりに帰ってきた自宅のリビングで寛いでいる。
色々あって大変だったけど…
久しぶりに父さんと母さんの顔が見れてよかったな…と、2人の顔を思い出していると、私のスマホに零くんからメールが届いた。
【さっき見たお前の両親の動画だ。
また見たいんじゃないかと思ったから送る。】
やっぱり零くんはすごく優しい……
私は彼のことを一生大事にしようと思い、メールに返信をした。
【動画ありがとう。仕事落ち着いたら両親に紹介したい。
一緒にお墓参り行こうね。】
その後
組織の連中が捕まった事による安堵感と、色々あって疲れてしまった疲労感が一気に襲ってきて、私は体を休めようとベットに潜り込むとすぐに眠りにつき、気づいたら翌朝だった。