第31章 襲撃
「どうした、何か分かったのか!?」
風「先ほど若山さんの携帯から着信がありました。
どうやら……FBIの赤井秀一と一緒といるようです。」
赤井と!?
…まさか奴もアグバロスの一味が日本にいる事を掴んでいたのか…?
風「若山さんの勤め先の方々も一緒にいます。
電話で彼女と話したわけではありませんが無事のようです。彼らの会話を録音したので、そちらに送ります。」
僕は車を路肩に停めて、風見から送られてきた通話の内容を聞いた。
美緒の声も聞こえてきたので、無事だったことに安堵した。
どうやら美緒のスマホを勝手に使って電話をかけてきたんだな。
僕にこの会話を聞かせるために……
そんな事をするのは、赤井しか考えられない。
美緒達の会話はこうだった。
美緒の両親が実はFBIだったこと。
15年前、アグバロスを潰したのは美緒の両親が筆頭だったこと。
組織の資金口座のパスワードが美緒の虹彩認証であること。
東社長達と赤井が顔見知りだったこと。
そしてみんな…
美緒を守るために動いてくれていたこと…。
きっと美緒が普段から誰かのために一生懸命だから
いざという時、色んな人が助けてくれるんだろうなと
彼女の人徳を誇らしく思った。
通話の録音を聴き終えてから僕は再び車を走らせた。
GPSの位置は米花町2丁目付近で点滅している。
赤井が一緒で2丁目と言ったら工藤邸しかないだろうな…と思い
急いでそこに向かった。
家に着いてから呼び鈴を鳴らすとやはり赤井が顔を見せた。
秀「意外と早かったな。」
「…美緒はどこだ。」
秀「中にいる。案内しよう。」
…こいつに案内されるのは癪だが、人様の家で騒ぐわけにもいかないので大人しく着いて行くことにした。