第30章 遠出
「おめでとうございます!
足首は完治しましたよ。リハビリお疲れ様でした。」
『本当ですか!?
ありがとうございます!!』
私は今、骨折した足首を病院の先生に見てもらって
完治宣言されたところだ。
先日の妊娠騒動から約2か月。
ギプスを外してからリハビリに励み
後遺症も残らず、やっと普段の生活に戻れることになった。
ちなみに、
私の友人の瑞希は萩原くんに妊娠していることを話したら
結婚しようと言ってくれたらしくて
2人はすでに一緒に住んでいる。
瑞希から電話でその事を聞いた時は驚いたけど
それ以上にめちゃくちゃ嬉しくて
自分のことのように喜んだ。
結婚式はお互い仕事が忙しいので、出産後にやることに決めたらしい。
わたしは今日、病院が終わってから出勤する予定で
病院を出て会社の事務所に向かう途中、完治したよ!と零くんにメールを送った。
会社に着いてから、社長達にも完治したことを報告すると
明日からまたボディーガードの仕事をしてもいいと言われたので
さっさくトレーニングを再開することにした。
『葉山!今日仕事なくて暇でしょ?
ちょっとトレーニング付き合って!』
葉「はぁ!?お前完治したばっかりだろ!!」
私達の事務所があるビルには地下の階があり、
そこにはトレーニング用の器具や畳が敷いてあるスペースもあるので柔道や空手の訓練をすることもできるようになっていて
仕事の予定がない時とか時間を潰すために時々使用している。
『ずっと体動かしてなかったから
早く前と同じ感覚取り戻したいの!
お願いっ!組み手付き合って!』
葉「仕方ねーなぁ……。でも顔は狙うなよ?
来週デートの予定あるし痣できたら大変だからな。」
『…よし!じゃあさっそく行こう!』
葉「おい!!無視してんじゃねーよ!」
葉山の言葉は適当に受け流して
私達はしばらくの間、地下室に篭っていた。