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《降谷夢》bonheur {R15}

第27章 見舞


「そんなに拗ねた顔をするな。美人が台無しですよ。」

そう言いながら頭を撫でてくる秀一くん。
わたしはその手を掴んで払い除けてやった。

「ふっ。随分嫌われてしまいましたね。」
『別に嫌ってません。警戒してるだけです。』


そう言って顔を横に向けていると
秀一くんは立ち上がりわたしの頭を掴んで少し引き寄せてから
耳元で囁いた。

『ちょっ……!?なに!?」

「美緒…
手首に土星のタトゥーが入った人物を見かけたら警戒しろ。
そして、どこで見たのかをすぐ教えてくれ。」


秀一くんはそれだけ言うと、パッとわたしから離れて
お大事に、と言いながら病室を出て行った。


『……一体なんなの?意味がわからない…。』


アグバロスという名前の組織に、
土星のタトゥー??


意味不明だったから
わたしはそれ以上考えるのをやめてベットに横になった。


入院中の夜はやることがないので
すっかり早寝の習慣がついてしまった私は
すぐに眠りつき、久しぶりに父さんと母さんの夢を見た。




ーーーーーーーーーー



「美緒、ちょっとこっちに来てくれる?」

『んー?なに、父さん母さん。なんか用なの?』

「いいからっ!……はい、おしまい。」

『え…。なに、何したの。怖いんだけど。』

「あなたの瞳、すごく綺麗でしょ?
私に似て眼が大きくてキラキラしてるから
記念に写真撮っておいたの!」

『はぁ?なにそれ気持ち悪っ!!消してよ!』

「こら美緒!気持ち悪いとか言うな!
母さんに失礼だろ。」

『いやいや、どう考えても気持ち悪いでしょ。
それにそんな写真使い道ないじゃん!』

「……大丈夫っ!いつか絶対役に立つから!」

『意味がわからない。まぁいいや、私もう学校行くね。』

「「いってらっしゃーい!!」」



ーーーーーーーーーーー……。



昔の夢を見たせいで朝早く目が覚めた。


あれは確か…小学校6年生くらい?だったかな…。
変な写真を朝から撮られたせいで不機嫌になったのを思い出した。


ぼーっとしながら夢の事を考えていたが
それよりも夢の中で父さんと母さんに会えたことが嬉しくて
わたしは夢の中で2人にまた会いたくて目を瞑り眠りについたが
残念ながらもう夢には出てきてくれなかった。






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