第26章 救助
人の心配しちゃうのは、もう職業病だから仕方ないよね…。
自分のことより、何故か先に相手のことばっかり
無意識に考えちゃうんだもん。
癖になってるから治すのは無理だな。
「……よし、瓦礫はどかし終わったぞ。
美緒、立てるか?」
『実は………立てないの……。
たぶん右の足首折れてて、ずーっと激痛が走ってる。』
「…そんな状態でよく大丈夫、なんて言えたな。
頭からも血が出てるのに……。
本当、僕の彼女は馬鹿がつくほどのお人好しだ。」
零くんはそう言いながら被っていたヘルメットを外し
私の頭につけて、そのまま私の両腕を引っ張り背中に乗せてくれた。
所謂おんぶの状態。
『……ごめんね零くん。私、重いよね?』
「鍛えてるから余裕だ。」
『そこは否定して欲しい所だったんだけど…。』
少しムッとしていうと、零くんは冗談だ、と言ってきた。
「お前は軽すぎだ。結構筋肉ついてるのに
なんでこんなに軽いんだよ、ちょっとおかしいぞ。」
……おかしいって……。
こんな時でも零くんの言い方は相変わらず意地悪だ…。
でも…
いつも通りの零くんで私はかなり安心できた。
『……零くん。
助けに来てくれてありがとう。』
「美緒に何かあったら
絶対駆けつけてやるって約束しただろ?」
『ふふっ。それ警察学校の時に言われたやつ。
有効期限ないの?』
「永遠だ。」
『…嬉しい。』
零くんは私をおんぶしているにも関わらず
瓦礫の山を越えて、ゆっくり下ってを繰り返し
いつの間にか建物の外に出ていた。
私達の元に救急隊の人が駆けつけて
私は救急車に乗せられ病院へ運ばれた、らしい。
すでにこの時の私は、外に出られた安心感で
またまた気絶してしまい、
目を覚ましたのは次の日の朝だった。