第20章 密輸
『ーー…拳銃密輸…ですか。』
風「はい。最近某組織が密輸を行なっていることが分かりまして……組織のアジトはまだ見つかっていませんが、
幹部の何人かは捕まえることが出来ました。」
珍しく風見さんから着信があり
拳銃密輸組織について話を聞かされた。
『わざわざ電話をしてきたってことは
私が組織の一員と接触した可能性があるってことですか?』
風「さすが、察しがいいですね、その通りです。
山根 大吾という人物をご存知ですか?」
その人は確か…
1週間くらい前に依頼を受けて1日だけ警護したが
次の日にはキャンセルされたクライアントだった。
そんなこと滅多にないので、記憶に残っている。
『その人が、何か?』
風「今朝、死亡が確認されました。
どうやら受け子だったそうで、
組織の秘密を何か握ってしまったため
消されたのではないかと、我々は考えています。」
『なるほど…山根の行動を調べた組織が
私たちに警護の依頼をしていたことを突き止めて
何かしてくるかもしれないって考えたんですね。』
「はい。他の社員の方もくれぐれも気をつけて頂きたい。
危険な組織ですので。」
『了解です。山根の警護記録の報告書、
社長に許可をもらったらメールで送りますね。』
「助かります。…では」
風見さんとの電話を切った後、社長に報告に行った。
平和だと思っていた日本で拳銃の密輸が行われているなんて…
物騒な世の中になっちゃったな……
社長への報告を終えたところで
梢さんが扉をノックして社長室に入ってきた。