第19章 憧憬
「確かに忙しいが……
美緒のためなら死ぬ気で時間作る。」
…降谷くんなら本当にやりかねない。
嬉しいけど、やっぱり無理はしてほしくないよね。
『じゃあ……クリスマスイブの夜、何時でもいいから
私の家来てくれる?
ご飯作るから一緒に食べよ!』
「出掛けなくてもいいのか?」
『うん。
デートは時間に余裕ができた時にしよ?』
降谷くんは優しいから
わたしが出掛けたいと言えばきっと付き合ってくれるけど…
年末の忙しい時期は
1分1秒でもゆっくり体を休めて欲しいと思う。
「…分かった。ありがとな。美緒。
本当にお前には頭が上がらないよ。」
……そんな大げさな。
わたしがそうしたいからそう言っただけなのに。
『降谷くんほど料理上手じゃないけど
クリスマスディナー用意するね!!』
「ああ。楽しみにしてる」
今までクリスマスを意識して過ごしたことなかったから
今年は楽しみだ。
わたしも仕事かもしれないけど、
あんまり遅くならないように梢さんに調整してもらおう。
お昼ご飯を食べながら喋っていると
あっという間に休憩時間が終わり、
2人で武道館の方に戻って来た。
『午後から試合形式で組み手やるんだけど
ずっと外で立ったまま見学は辛いでしょ?
部長さんが中に入って見学してもいいよって言ってたよ。』
松田くん達はまだ戻って来てなかったから
そのことを子供達にも伝えてもらうように降谷くんに頼んで
私は部員の元へ向かった。