第11章 葛藤
高校3年生の時に交通事故で亡くなった私の両親。
両親は仕事で忙しくて家にいない時が多かったけど
顔を合わせた時は楽しく会話していた記憶しかない。
亡くなった今でも、私は2人のことが大好きだ。
花を持って墓の前に行くとそこにはすでに綺麗な花が生けてあり、父がいつも吸っていたタバコの箱が置かれていた。
『あれ…?今日命日じゃ無いのに
誰か来てくれたのかな…?』
不思議に思いながらも私は持ってきた花を
すでに生けてあったお花と一緒にお供えした。
目をつむり手を合わせていると
誰かがこっちを見ている気配を感じ、パッと振り向いたけど…
そこには誰もいなくて気配もすぐに消えてしまっていた。
『……気のせいかな?』
何度か周りを見渡しても誰もいなかったので
私は後片付けをして帰ることにした。
『父さん、母さん。私……頑張るから。
……また来るね。』
最後に挨拶をして私は駐車場に向かって歩き出した。
?「さすがあの2人の娘なだけあるな。
俺の視線に気づくなんて」
物陰から姿を現した人物がぼやいていたのを
私は気づくことができなかった。