第11章 葛藤
せっかく会えたので、
入り口にあるベンチに座り少し話すことになった。
『諸伏くん、忙しいのによくここに来れたね。』
「前田さんにはお世話になったからね。
今年はたまたま命日に来れてよかったよ。」
諸伏くんは
前田さんに何度か武術の稽古をつけてもらったことがあるらしい。
私はそのこと全然知らなかったんだけどね。
「美緒ちゃんとはポアロで入れ違いになってたみたいだね。ゼロが言ってたよ。」
『ほんとだよ〜。
私仕事休みの時はいつも行ってたのに。
……やっぱり諸伏くんも潜入捜査で忙しい?』
「ゼロに比べたら全然忙しくないよ。
あいつはいつ寝てるんだってくらい忙しいから。」
『そうなんだ…。』
忙しいくせに
わたしに時々電話やメールしてくれてたんだ…
無理しなくてもいいのに……。