第8章 秘密
side 降谷
まさか美緒がこの店に来るなんて
思っても見なかった。
きっと松田達が気を利かせたんだろうな…。
帰り際に電話番号を書いた紙を渡したが
彼女に連絡先を教えるかどうかは、正直迷った。
僕に関わったせいで、あいつが危険な目に遭うかも知れない。
リスクが伴うかもしれない。
だがそれよりも…
美緒とまた距離ができてしまうことの方が嫌だった。
完全に個人的な事情だが、
あいつの顔を見た瞬間気づいたんだ。
もうこの気持ちは止められそうにない。
7年経っても忘れられなかったんだ。
……覚悟を決めよう。