第75章 幸甚
「…衛星電波の受信。
それも日本の情報収集衛星の電波。」
突然話し出した彼に、全員が驚いている中
私は黙って彼の言葉を聞いていた。
やっぱりこの人…
私が知ってる人の声だー…
絶対、人違いなんかじゃない…。
「それと当然、同盟国であるアメリカの軍事衛星情報も含まれる…。そのデータを全世界に公開すると、日本政府を脅したのは
林さん、あなただったのですね?」
コ「じゃあ長谷部さんは
ずっとその犯人を探してたってこと?」
毛「捜査本部付きの検事さんじゃなかったのか?」
毛利さんとコナンくんが疑問を投げかけると
長谷部さんは足を止め、私達の方へと体を向けた。
長「申し遅れました。私、
内閣衛星情報センター所属の長谷部です。」
自己紹介をし、丁寧にお辞儀をした長谷部さんを
みんなは驚きながら見ていて
どうやら、全員この人が捜査本部付き検事だと思っていたようだ。
長「警視庁捜査一課、黒田管理官に無理を言い
捜査本部付き検事と偽り、捜査に参加しました。」
諸「なるほど…、日本政府にそんな脅しが来たから
内調と公安が動き出したわけですか。」
蘭「ないちょう…って?」
『内閣情報調査室、総理大臣直轄の諜報機関のことだよ。』
長「さすが若山さん、記憶力も素晴らしい。」
コ「えっ…、美緒さんは長谷部さんのこと知ってたの!?」
『あー…まぁ…ね。SPだった時
総理の警護も時々してたから…
内調の人とも、何度か顔は合わせてる。』
長「若山さんには
我々の仕事を何度か手伝ってもらいましてね、
SPを辞めたと聞いた時は、大変驚きましたよ。」
『…今はそんな昔の話しなくていいですから。
10ヶ月前、その問題のデータが受信された日時を割り出して、未宝岳だと特定したのは、長谷部さんですよね?』
長「えぇ、その通りです。」
…この人の腕の良さ、昔と全く変わってない。
私がSPだった頃、
政府のとある情報を盗む為にハッキングしてきた人物も
すぐに割り出してたしなぁ。