第75章 幸甚
未宝岳に到着したのは、日没近くーー…
先に到着していた毛利さん達は
天文台の駐車場で、
8年前の強盗事件の被害者である舟久保真希さんの父…
舟久保英三と話をしているところだった。
そして、英三さんの背後には
高木くんと美和子ちゃんが、炭焼き小屋の主人…
大友隆さんを連れていた。
『やっぱり…、大友さんが鷲頭隆だったんですね。』
諸「…。いつから気付いてたんですか?」
『コナンくんから、彼にライフルの痣があると聞きましたし、名前が同じですからね。少し調べてもらったら
鷲頭は養子縁組をして、名字を変えた事もわかりました。』
…まぁ、名字が変わってたことは
ちょうどここに到着する前
風見さんから送られて来たメールで分かったんだけどね。
私の説明に納得した諸伏警部は
毛利さん達の元へ歩みを進めた。
「なるほど…。
晋の予譲、身に漆し、炭を呑むが如し…」
…へぇ。今度は刺客列伝の引用かぁ。
いい擬似だ。
蘭「諸伏警部…!美緒さんも!」
美「もう退院されたんですか!?」
諸「えぇ。」
高「あ、あの〜…、晋の予譲…って?」
みんなが諸伏警部の姿を見て安堵し
先程彼が発した台詞に、高木くんが首を傾げていた。
『史記っていう歴史書にある話の一つだよ。』
蘭「私も知ってます!晋の予譲って人が
体に漆を塗って外見を変え、炭を飲んで声も変え
正体が分からないようにして潜伏したっていうー…」
毛「そう…、つまり、大友 隆さん、
あなたもそうやって顔と名前を変えた…違いますか?」
大「っ…」
険しい顔をする大友さんを見て
舟久保さんは、なぜ今そのような話を私達がしているのか、分かってなさそうだったけど…
鷲頭 隆が猟銃免許の所有者であることを伝えると、舟久保さんは大友さんの名前も同じ"隆"であることに気づいた。