第72章 多幸
『花だけじゃなくて
翔の服も送ってきてくれたんだよ?』
秀一くんは
零くんと共に潜入していた組織を壊滅させる事ができ、
FBI本部のあるアメリカのワシントンへ帰国した。
日本に来ることは忙しくて難しいから
毎年翔の誕生日には欠かさずプレゼントを贈ってくれるんだ。
『綺麗だよね〜、紫色のシオンの花。すっごく可愛い。』
「……確かに綺麗だが花言葉の事を考えるとムカつく。」
シオンの花言葉は確か……[君を忘れない]とか
[遠くにある人を思う]という意味だ。
秀一くんはどういうつもりでこの花を送ってきたんだろう……
苦笑いで花を見ていると
零くんは私のいるキッチンに入って来て私の体を正面から抱き締めた。
『零くん…』
「美緒…さっきの続きがしたい。」
『……。』
きっとみんながこの家に来る前のことだろうと思い
体を離すと、ゆっくり零くんの顔が近づいて来て
私と零くんの唇が重なった。
「やっとキスできた。」
『…キスだけでいいの?』
「そんなわけないだろ…今日はたくさん抱きたい。」
『うん…たくさんして?』
「っ、…煽るな馬鹿。」
『だって…早く抱いて欲しい…』
「…。」
私の言葉に一瞬固まった零くんは
すぐに私を抱き上げて寝室に向かいベットに横たわらせると
激しいキスを浴びせてきた。
『んっ…れい、くん……』
「…滅茶苦茶に抱くからな。」
『っ…』
キスの合間に私を見る零くんの目はすでに野獣と化していた。
その日は久しぶりに抱き潰された夜になり
何度も愛の言葉を囁きながら私を抱くのは
昔からずっと変わらなくて…
そして何年経っても零くんは体力お化けのままだ。
「美緒…愛してる。」
『私も…愛してる。』
これからもずっと…零くんの事を愛してるよ。
零くんといることが私の幸せだから…
(零、くん……もう寝ようよ…)
(そうだな…じゃあ続きは明日にしよう。)
(!?明日もするの!?)
(当然だ。明日から子供が出来るまで毎日する。)
(無理無理無理!死んじゃうから!)
(翔のため……だろ?)
(っ、その言い方は卑怯!!!!)
〜bonheur END〜