第13章 二次選考
食い入る様にモニター画面に目を向けていると、室内にジャンクな匂いが鼻を掠めた。
「いやぁ、まさかキミとこのプロジェクトを進めていく事になるとはね。」
カップ焼きそばを手に持った絵心さんがモニター画面の真ん中、専用の椅子へと腰をおろした。
え、、、朝からカップ焼きそば、、、?
と思わずその手元に視線を向けていると、
絵心さんは慣れた手付きでカップ焼きそばにチューッとマヨネーズをかけていく。
「サッカーど素人の箱入りのお嬢様が、ここでどんな働きを見せてくれるのか、楽しみにしているよ。」
眼鏡の下の大きな目に一瞥され、モニターの端で身体を縮こませた。
『・・・・がんばり、、ます、、』
あの黒くて大きな目が怖いんだよ〜……。
と手元のパソコンに視線を落としていると、アンリさんがコツコツとヒールを鳴らしながら私の側へとやって来た。
そして耳元に口を近づけ内緒話をするように手を添えると、
「さん、大丈夫よ。
絵心さん口調は冷たいけど、要は"期待してる、頑張れ"って意味だから。」
フフッと悪戯っ子のような笑みを浮かべた。
ーーーそうかなぁ、、、そうだといいんだけど…。
ペコッと頭を下げるとアンリさんは小さくグーサインをし、資料を片手に絵心さんと何やら話し始めた。
沢山のモニター画面を見ながらふと思う。
私のブルーロックでの生活も残り半分。
ここに来た時は不安で逃げ出したい気持ちが大きかったのに、今ではこの生活の終わりが近づいてきてる事に寂しさを感じ始めている。
絵心さんが言うように、ここにいる選手達は才能の原石だ。
この先原石が磨かれ光り輝く時、私はきっとその場にはいれないんだろうけどーーー
今はせめてその選手達がふるいから落とされないよう、陰ながら支えたい……。
タイムリミットが迫る中、二次選考がついに幕を開けた。