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イケメン戦国 書き散らかした妄想

第10章 恋慕3−1 花の赦し ノーマルEND【家康】


「っ‥‥」

着替えをしながら、怪我の痛みに顔を歪ませる名無し。

「痛い?」

手伝ってやりながら家康が気遣う。

今日は信長が来るという。

名無しも、家康も、覚悟を決めていた。

これからは元の関係に戻り、ただ、お互いの幸せを願おうと。



「信長様‥‥この度はご心配をおかけして本当にすみませんでした‥‥」

名無しは畳に指をつき、深々と頭を下げる。

「よい。頭を上げろ。何も言わず出ていくとはな。本当に心配したぞ」

「すみません‥‥」

「身体は大丈夫か?」

「はい‥‥」

「家康の献身的な看病のお陰だな」

家康は、信長の緋色の目をじっと見ながら口を開いた。

「名無しが出ていこうとした本当の理由は‥‥」

「言わずともわかる。ここ最近の名無しの様子、家康の様子、見てれば否が応にも、な」

家康は息をのんだ。

「‥‥も、申し訳ありません‥‥!!」

名無しは再び頭を下げる。

体の震えが抑えられない。

「名無しに処罰を下す」

「罰なら俺が!名無しは何も悪くない」

家康は立ち上がる。

「よかろう。二人とも処罰を下す」

凛とした低い声が響き渡った。

「名無しは、織田軍世話役をクビとする。今後は家康の御殿に住まい、世話をするように」

「の‥‥信長さま‥‥?」

名無しは顔を上げた。

想像もしなかった言葉に、思考が全然追いつかない。

「家康は、この人騒がせな娘の面倒を一生見ること」

「‥‥」

名無しの目がどんどん涙で潤む。

視界の中の信長の姿が歪んでいく。

「以上だ」

「‥‥ありがとうございます‥‥」

「‥‥くっ‥‥」

家康は言葉が見つからなかった。

ただ畳にこすりつけるように頭を下げるばかりだった。



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