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鍵穴(トリガー)の先

第7章 思い出(中編)


「見て、葉っぱで船作ったよ!」

「さくらんぼは器用だな」

「ゆうま君にもできるよ。ほら、ここをこうやって…」

「むう…あ、破けちゃった。やっぱり才能じゃない?」

「そんなことないのに…私の元居たところではよくやってたよ。お母さんとか…
会いたいなあ…」

「そこってどんなところ?」

「うーん、あったかかったり、暑かったり、涼しかったり、寒かったり?」

「なんだそんなところ…聞いたことないぞ…」

「楽しいとこがいっぱいだよ。ここみたいに大人の人が武器を使って戦いなんてしない…」
しゃがんで顔をうずくて言った悲しそうな言葉

「幸せな所だな…おれも戦いは嫌だ」

「ここよりはずっといい。まーにーがいなかったらたぶん死んでた。
おうち帰りたい…」

<どうやら玄界の子だというのは本当らしいな>

「「わっ!!!」」

「うさぎさん!!」

<ウサギではない自立型トリオン兵だ。初めましてさくらんぼ、私の名はレプリカ>

「可愛い!!」
話を全く聞いていない様子だったけれど元気そうで安心した

「うさぎさんはゆうまくんのペットなの?」

<私はユーマのお目付け役だ>

「ふーん」

<さくらんぼ、本当に玄界に帰りたいならユーマの父であるユーゴに何か聞くといい。彼はもともと玄界の人間だからな>

「ゆうまくんのおとうさん…」

『ああ、そんなに悲しそうな顔をしないで欲しい。笑っている方が奇麗なのに…』

「あ、お舟流そう」

「え?流せるの?」

「うん!」
さくらんぼの作った小さな舟は小川をゆっくりと進んでいった。おれたちはそれが見えなくなるまで追いかけた

「…あのお舟ママとパパのところに届いてるといいな」
言えなかった。君の住んでいるところはきっと別の星だからこの川は家には続いていない、なんて…

「ゆうまくん、鬼ごっこしよう!」

「え?」

「ゆうまくんが最初鬼!十秒したら捕まえに来て!」

「ちょっと!」
さくらんぼはふふっと笑いかけ林の奥に行ってしまった
だからその顔に弱いんだって……









「そろそろ経ったか。……ちょっとだけ手を抜いておこう…」



その時あいつの耳を裂くような叫び声がこちらまで届いた


「!レプリカ!上空からあの子を探してくれ!」
<承知した>

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