第5章 *File.5*
「ゼロは陣平よりも先に、私の本性を見抜いてたみたいだから」
「なるほど、アイツらしいな。で、諸伏も、か?」
「まあね」
「…ありが、と?」
「「!」」
どう返答していいのか分からず、とりあえず景光にお礼を述べたら、
「こりゃ、とんでもねえお嬢さんだ」
と、景光と視線を合わせた班長が、声を上げて笑い始めた。
「?」
「だろう?班長に彼女がいて、ホント良かったよ」
景光はしみじみと呟く。
「ナタリーさん?」
「ああ、それも知ってるのか。だったら今度連れて来るから、雪乃さえ良けりゃ、友達になってやってくれないか?」
「もちろん!こっちからお願いしたいぐらいなのに」
「そりゃ、安心だ」
「ナタリーさんに会えるの、楽しみにしてる」
「帰ったら、早速報告しとかねえとな。おっと、忘れねえうちに、雪乃の連絡先を聞いてもいいか?」
「うん。私も班長の知りたい」
私と班長はスマホを取り出すと、互いの連絡先を交換する。
「…で、お前も班長、か?」
「班長は班長だから」
「どうして、そこでドヤ顔?」
「…何が?」
景光の半ば呆れた顔に、思わず聞き返す。
「だから、聞いてるのはオレの方だって」
「?」
「ハッハハハ。中々いいコンビみたいで安心した」
「「コンビって、何?」」
「こりゃ、おもしれえ。お前ら二人、実は似た者同士か?」
笑いながら言うものだから、景光と顔を見合わせる。
「そういえば、陣平にも同じことを言われたような気が…」
「松田に?だったら、俺の勘は当たってるな。間違いねえ」
「班長の方こそ、ドヤ顔なんだけど」
「そうか?」
「「うん」」
私と景光は、やっぱり同時に頷いた。