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銀色タイム

第1章 一億分の一



貴方が好き。

この想い、どう言えば
貴方に届くんだろう....。




今日こそ、ちゃんと挨拶しようって
脳内シュミレーションまでしてきたのに
いざ本人を前にすると声が出ない。


おはようって、ただ一言だけなのに言えなくて。


まぁ相手は真選組副長だし、私みたいな下っ端が
軽々しく声をかけることすら恐れ多いのだけれど。


でも、しいて言えば同じ組織の仲間だし
毎日同じ屯所内にいるわけで、
挨拶くらいしても罰は下らないだろう。

だけど私にはそれが出来ない。

他の隊士にするみたいに笑って言えたら良いのに。


土方さんは朝稽古を終えると一度自室に戻り
着替えてから食堂に向かう。
だからいつも時間を合わせて私も自室を
出るようにしている。

だけど挨拶は愚か、目を合わせた事すら一度もなく
ただ、他の隊士達と挨拶を交わしながら
足早に歩いていく背中を見送ることしか出来ていない。

任務や書類といった、仕事上でしか
会話をしたことがなく、しかも
それも土方さんから声を掛けられた時だけ。


どうしてこんなにも報われないのか、
いや、挨拶すら出来ない私一人の問題なのだが。

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