第3章 crossroads
〜加藤side〜
手越の脱退が不可避のものだとするなら…
確かに手越が決断したように
4部作の大仕事を終えたあとに退所、
というのが一番ダメージが少なかったと思う。
ただ、本当に不幸にも
中止の可能性もある延期になってしまって…。
このときばかりは
非運を恨まずにはいられなかったよな…。
本音を言えば、
まだSTORYを完結できる可能性があるんだから
それまでは早まるなよ、
と願っていたりもしたんだけど…
なんというか。
思い出すことを脳が拒否してるのか
2020年の春は
正直、あんまり記憶がない…。
ただ、いろいろありすぎて…
手越が思い立つには充分すぎることばかり
起こってしまった感じは否めない…。
自分で撒いた種だろ
って言われても仕方ないこともわかるし、
わかるんだけど…
今まで一緒に4部作完結に向けて
心を1つに頑張ってきたのは事実だから…
手越の無念さも
手に取るようにわかるし、
それは、
俺たちも同じ気持ちだった…。
だからこそ俺たちはあのとき
手越のパートを歌わずに
心の中の手越に歌ってもらったんだ…。
ただ…、脱退は不可避のものだったとして、
コロナ禍でのツアー延期も仕方がなかったとして…
だからこそもっと、
配慮することはできたよな?
あんな、立つ鳥跡を濁しまくりな最後じゃ、
俺たちも、ファンのみんなだって
気持ちよく送り出せないだろ…?
せっかく18年も一緒に頑張ってきたんだから
ちゃんと、送り出させてほしかったよ…。
『脱退後の生活もあるから
脱退前から動く必要があった。』
手越は会見でそう言ってたけど
……ホントにそうか?
2年くらい働かなくても生活に困らないくらい
充分な給料はもらってきてただろ?
メンバーの、
ファンの想いを無下にしてまで
緊急事態宣言のなか
本当にそんなに急ぐ必要があったか?
手越がしたことは、
ちゃんと別れる前に
次のパートナーを見つけようと
探し回ることと同じだったと思う。
配慮が足りなかったのはほんと、
手越の落ち度としか言いようがないと思うし
あの脱退騒動は
今思い返してみても
残念で仕方がないと思ってるよ…。