第2章 その感情は
気持ちいいのかと言われたら、気持ちいい気もする。
一虎の触れた部分が、全部熱を持って痺れているみたいだ。
「あっ、ふっ、ンっ……」
「……あー、可愛過ぎる……ずっと触ってたい……」
「あぁっ……」
初めて自らの口から出る、甘く弱々しい“女”の声。
違和感しかないから出したくないのに、一虎が可愛いと言ってくれる度に、抑えられなくて。
馬鹿みたいに、私も浮かれてしまっているのだろう。
「んっ、ゃ、ああぁっ……」
突然触れられていない方の胸の突起に、感じた事のない感覚がして、一虎の肩に置いていた手に力が入る。
一虎の口内で熱い舌に転がされている胸の突起に、ビリビリと痺れが起きる。
「んー……ふっ、きもひぃの?」
「ゃっ、噛まなっ、でぇ……」
刺激を受けて立ち上がり始めた突起を、優しく甘噛みされてまた体をビクビクと震わせる。
一虎は終始楽しそうで、子供みたいに胸の刺激に夢中だ。
ただ、こんな事までしていて何だけど、この先に進む事に少しだけ怖さみたいなものがある。
受け入れる事が出来ないわけじゃないけど、未知なる世界への不安は拭えなくて。
「ベッド、乗せるから」
「わっ!」
抱っこした状態で立ち上がった一虎が、私をゆっくりベッドへ降ろした。
行為が更に進む事を改めて感じて、また不安が大きくなる。
「あ、あのっ、一虎っ! ちょっと、待ってっ!」
「ん? 何?」
「あの……私、その、こういうのは、初めて、だから……」
「うん、俺も」
そんな満面の笑みを浮かべて、自信満々に言われても困ってしまう。
「でも、ちゃんとやり方分かってるし、しっかり気持ちよくしてやるから任せとけっ!」
何処からこの自信が来るのか。深く考えている自分が馬鹿みたいに思えて、笑ってしまう。
「あー、でも俺ゴム一個しか持ってねぇ。はっ!? てことは、一回しか出来ねぇじゃんっ!」
「……何回するつもりなの……」
「朝まで?」
何て怖い事を平気な顔して言ってのけるのか。これが彼の場合冗談でなく本気で言っているのだから恐ろしい。
「今から箱で買ってくるか」
「ま、待ってっ! さすがに初めてだし、一回で勘弁してっ……」
少し不満そうな顔をしたけど、何とか納得してくれた。