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月島軍曹を絶対幸せにするマン

第4章 月島軍曹と樺太先遣隊



数日前
網走 尉官室

「鶴見中尉、私も樺太に行く」

「何を仰られるかと思えば…いけませんよ、大尉殿」


鶴見中尉が大袈裟なジェスチャーでダメダメ、と表現した

大尉は、断られることは予想の範囲内だったためか、表情は変わらなかった


「散々貴様の言う通りにしてきただろう、今度はこちらの番だ」

「アシリパ奪還作戦は、内密です
大尉殿が樺太に言ったと知られるのはまずい」

「網走監獄襲撃で両手両足を骨折して旭川に戻れない、とでも言っておいてくれ
情報将校様なら上手くやれるだろう」

「危険です、命を落とす可能性もある」

「承知の上だ」

「お仕事はどうされるのですか」

「各中尉に任せられるものは任せる
父上が亡くなった時、暫くそれでいっていただろう

網走監獄の件も、私の名前で好きに報告して良いぞ」


鶴見中尉の目がギラリと、獲物を捕らえる獣のようになった
彼には下手な小細工をしない方が伝わるだろう


「私は月島軍曹を好いている、なので彼に着いていきたい
貴様等が私を利用する存在としてしか見ていないのは知ってる

もしも私はついていかず、アイツが樺太という遠い地で亡くなった時、死に顔すら拝めない事は絶対に避けたい

逆に私がそれで死んでも構わない、利用されても良い
好いた男の盾になり、最期は腕の中で死ねれば最高だ」


鶴見中尉が目を見開いた
彼には珍しく、暫く黙った


数分黙ると、ようやく口を開いた

「………そうですか
女性とは強いものですな」

「?」

「部下の私が、上司の貴方の樺太行きを止めれんでしょう」

「本当か…!」

「その代わり生きて帰ってきた際には、完全に此方側の味方をして頂きたい
逆に中央のスパイになると約束できますかな?」

「うむ、約束する
まあ、そもそも先の件で中尉の部下になる可能性もあるが」

「そこは私が上手くやっておきましょう
何せ、情報将校ですゆえ」

鶴見中尉が歯茎を見せてにやり、と笑った
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