第2章 顔合わせ
「 まもなく到着しますよ 」
明るめのスーツを着こなした一人の色男を乗せた車。
ついに当日の夜を迎え、三途は大蛇の事務所へと向かっていた。他に潜入予定の幹部達とは全て別行動の為、三途とのみで合流する。
髪色に似合ったスーツの色、相変わらず派手な見た目をしているが今日はクスリを飲んではいない。九井にしつこく言われたからだ。
タワーマンションに到着後、気だるげに車を降りて彼女を待った。三途も黙っていればとても良い男である。その辺の女がチラチラと盗み見るようなルックスだ。
約束の19:30、見送り相手を連れながら女はやってくる。
『 こんばんは。お迎えありがとうこざいます、三途さん 』
「 ・・・ァあ 」
今夜は真っ赤なロングドレス、サイドに流した髪の毛に白く滑らかな胸元を飾り付けるのは煌びやかなジュエリー達。
普段より更にセクシーさを求めたメイク、誰もが声を揃えて美しいと言うだろう。
三途の目から見たってそれは同じだろう。は確かに綺麗な女、だが同時に警戒すべき相手でもある。
お互い何を考えてるのか分からないような顔付きで挨拶を交し、流れるように三途は車のドアを開け、が乗り込む。
見送り人としてきていたヘアメイク担当の彼女は、絵に書いたような2人の姿に感極まっていた。
( こ、これは・・・・・・!・・・様、頑張って・・・! )
________こうして、と三途の初任務が始まったのである