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キラキラ星

第9章 歪




部屋を完全に元通りにした後、寝室に向かう。了はもう寝てしまっているかもしれないが、黙って帰宅しようなどという考えは、はなから持ち合わせていなかった。

ゆっくりと扉を押し開く。蛍光灯は、頼りない光を放っていた。彼は背中をこちらに向けてベットに入っていたから、起きているのか眠っているのか分からない。しかし、反応がないところをみると後者かもしれなかった。
私がそっと扉を閉めようとすると、冷えた声が放たれる。


「泊まっていけ」


私は間を置かず、はいと答えた。

ここで夜を明かすのは、初めてではない。何度か、私達は既に体を繋げていた。でも、だからと言って頻繁に泊まりに来ているわけではない。
この男物のシャンプーも、微かに了の匂いがするボディーソープも、やっぱり全然慣れてない。


再度寝室にやって来た私を、了は当たり前のように組み敷いた。こちらを見下ろす瞳は、やはりいつもとは少し違っていて。苛立ちの色を滲ませている。
比べて口付けは、いつもと変わらない。荒々しくて、魂を引き抜かれてしまいそうな激しい。

私はこの口付けだけで、心臓が破裂してしまいそうなのに。了は落ち着き払ったものだ。いつも、そう。少しは、彼の気持ちも昂ぶれば良い。私の、たった1/10でもいいから…

そんなことを思っていたら、いつの間にか口走っていた。


『どうして私を、抱くのですか』

「ふーん。つまらない疑問だね。どんな答えを期待してるのか知らないけど、男が女を抱くのに 特別な理由が必要だと感じたことはない」


予想通りの解答だったが、了は潤んだ唇を舌先でなぞり続ける。


「ただ…この中が、僕の形に変わっていくのは気分が良い」

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