第7章 ruff ruff !?
私はどうやら後ろに飛び退いて降谷さんの腰に思いっきりしがみついて押し倒したらしい。
「……。」
「……。」
尻餅をついた降谷さんの腰に…抱きついてる……!
見下ろしてくる降谷さんと時間が止まった様に見つめ合った。
「…っ!す、すみませんっ!」
我に帰った私は床に手をつき起きあがろうとした。
わんっ!!
「きゃっ!」
どん!っと背中に衝撃を感じてバランスを崩した私は再び降谷さんの鎖骨あたりにおでこをぶつけてしまった。
犬が後ろから飛びついてきた様だった。
「お、おいっ。」
さすがの降谷さんもバランスを崩した様で、倒れない様私の腰に手を回し、私の上に乗っかっている犬に手を伸ばした。
ひえっ!ち、近すぎる!!!
犬も降谷さんも!
こんな漫画のラブコメみたいなっ!
私は早急に降谷さんから離れたかったが、犬の爪が背中に当たってぎゅっと体に力が入った。
「いたっ!」
「ハロ!退けろ!」
わふっ
くそっ!降谷さんの言うことだけは聞きやがる!この犬ころ!
「背中大丈夫か?爪…」
「だ、大丈夫です。」
まるで私が押し倒してるような体勢に一刻も早く退けたかったが、私の背中に添える様に置かれた降谷さんの手が気になって仕方なかった。
サラッと私の耳の横の髪の毛を降谷さんの指先が触れた。
「…っ!」
私は急いで立ち上がった。
これ以上はむりっ!
犬も!降谷さんも!
服を正し、犬に乱された髪の毛を押さえた。
降谷さんも立ち上がり、私の方を見ることなく、服をピシッと治した。
「…ポアロに行く。」
「あ、…はい。あの…鍵お返しします。」
…気まずい。
私はポケットの中の家の鍵を取り出そうとしたが,降谷さんがそれを止めた。
「いい。夏目が持ってろ。…無くすなよ。」
ここに来てもらうことがあるって言っていたが,本当に私がここに来ることになるのか。
「わかりました。じゃあ、私は先に本庁に戻ります。」
「あぁ。」
なんとなく気まずい空気の中私はバタバタと荷物を抱え、走る様に部屋を後にした。
高鳴る心臓をぎゅっと抑え込んで。