第1章 序章
「出来そうか?まとめるだけじゃなく君が言う3年前の事件のことまでやっているならもう少し時間が必要なんじゃないか。」
夕方疲れてぼーっと座っていると、風見さんが背後から話しかけてきて私は慌てて背筋を伸ばした。
「あっ、風見さん。資料はコピーして紙のほうがいいですか?それともデータをお渡ししますか?」
「…出来たのか?」
「はい。」
それが私の取り柄だ。
ドヤ顔で風見さんを見つめると、瞬きを繰り返し、「では紙で。」と言うので、私はコピー機にデータを送った。
二部準備をし、風見さんに手渡した。
「ひとつは風見さんと。もうひとつは私にその資料を頼んだ方に。」
「…もう一人いると、気付いたのか。」
「ん、まぁ。そうですね。」
そんな感じの言い方を風見さんもしていたし…。
「渡しておこう。」
「よろしくお願いします。では、私はそろそろ帰ります。」
「あぁ、お疲れ様。」
定時の5時だ。
帰れる時に帰らないと。
風見さんにお辞儀をして、私は机の上を片付けた。
高橋にラーメンでも奢ってもらおうか。
…そういえば高橋今日もいない。外で仕事をしているんだろうか。
と、キョロキョロしたが、高橋は見当たらなかった。
仕方ない。一人寂しく牛丼でも食べて帰ろうと、黒いカバンを肩にかけ、私は公安部の部屋を後にした。
「夏目刑事。」
警視庁の自動ドアから出ようとした瞬間、私を呼び止める声に振り返った。
「…風見さん?どうされました?あっ、資料何かありました!?すぐ直します!」
「いや。資料は完璧だった。」
「…?」
なら何の用だろう。
「貴方は今日付けで配属が変わるので。」
「…は?」
「こちらに。」
「…えっ。」
「うちの上司はかなりのせっかちのため、決めたらすぐ行動の方だ。」
「…?」
早歩きで歩く風見さんに必死についていく。
私の知らない通路だ。上司って!?
「ゼロ。を知ってるな?」
「公安なら知らない人いないと思います。警察庁の…。」
「そうだ。」
風見さんは彼の下で働いてるという噂を聞いたことがある。
…まさか!
「夏目めぐみ。君は今日からゼロの下で働いてもらう。」