第42章 元上司 降谷零の謀略
〜めぐみの旅館へと乗り込む数日前のこと〜
ポアロでの仕事を終え、食事を済ませると警視庁へと向かった。
一週間以内にかたをつけるとみんなに言って数日が経っていた。
執務室に入ると、もう夜だというのに全員残って仕事をしているようだった。
「お疲れ様です、降谷さん。」
「あぁ。」
「色々進んできたので、報告します。」
「頼む。」
そう言って、自分の席に座りパソコンを開くとわらわらと全員が僕の席を囲うように立った。
一番手は高橋。
手元に白い封筒を持っていた。
「めぐみの退職届。九条からくすねてきました。似せた筆跡で偽物とすり替えてます。捺印だけ百均で買った適当な苗字のものを押してますので、人事は承認しないと思います。」
「…。」
次はローラ。
数枚の写真を僕の机に広げた。
「警察庁のお偉方の一人。暴力団との繋がりを掴み、証拠を突き出したところ、証拠は揉み消されたものの辞任するそうです。こちらには写真がありますので、降谷さんにこれらの写真は預けます。お好きに使ってください。…警察庁の席がひとつ開きました。」
「…。」
「これらを踏まえ、九条にその空いたポストにつけるよう働きかけましたので、恐らく数日中には九条は警察庁に着任すると思われます。もう降谷さんには近づかないと思います。」
風見がそう言い、僕はまばたきを数回繰り返した。
ーー…特に僕の考えを話た覚えはない。が、さすが僕の部下だな。
九条の狙いを掴み、指示した以上のことをしてくれた。
最後に影月が机に一つのスマホを置いた。
赤いスマホ。
「めぐみさんの本物のスマホです。今めぐみさんが持っているスマホは九条が警察関係の連絡先を書き換え、すり替えていると思われます。」
「…だから連絡が取れなかったのか。あのバカ。すり替えられた事くらい気付け。」
僕は机の上のめぐみのスマホに触れた。
「今はめぐみさんにはそんな余裕もなかったんだと思います。」
「?」
「めぐみさんのご実家は詐欺にあい、旅館が半崩壊、めぐみさんはそのために数日後に入籍するようです。」