第40章 結婚
急に現れた男性の後ろで私は立っていた。
邪魔をされた如月さんはちょっと不機嫌そうにその男性を見つめていた。
「なんです?」
「高圧ケーブルの点検なんですが、サインとあと確認してもらいたいものがありまして。すみませんお邪魔してしまって。」
メガネにマスクをしていて顔がよく見えないが、業者さんのようだった。
「…わかりました。」
「こちらです。」
私に軽く会釈をして、如月さんと作業着の男性は二人で去っていった。
作業着の男性、メガネにマスク。帽子は深く被っていて顔は見えなかった。
声もマスクのせいでこもってて、わかりづらかったけど…。
掴まれた手首の感触を思い出そうとした。
「……?」
髪の毛は黒髪だったし…そんなはずはない。
「…でもちょっと似てたな。」
降谷さんに。
あまりに会いたすぎて似てる人をそう思わせてるんだろう。
「だめだめ。忘れなきゃ。」
私は頭を振り、自分の手首をさすると、作業に戻った。