第37章 本音
ずっと布団の上にいる。
もうかれこれ一週間はこの状態だ。
「…はぁぁー。」
何度目のため息だろうか。
ゴロリと寝返りをしても、まったく時間が過ぎていかない。
まだ朝…。
これから昼が来て、おやつの時間が来て、夜が来る…。
あー、まだ朝。
暇すぎて思考がおかしくなってきていた。
バタバタと扉の向こうから足音が聞こえてきて、私は頭を上げた。
この慌ただしい足音はーー…。
「姉さん!」
「んもう。ノックしなさいよ。」
背だけは高い、我が弟、むっちゃんこと武蔵だ。
「お袋がさっさと家のこと手伝えってよ!」
「えぇ?」
武蔵に言われ私は再び頭を布団に戻した。
旅館の手伝い…。
めんどくさい。
武蔵は勢いよく入ってきて、私のベッドに腰掛けた。
「警察辞めてこっちのことするんだろ?」
「…まぁ。」
私が帰ってきたことが嬉しいのか、ちょっと声が明るい武蔵にすらちょっと腹が立つ。
私は起き上がって大きなあくびをしながら、ベッドに座ったままの武蔵を睨みつけた。
「てか、日サロってすぐ戻せないの?」
「なんで?」
「いや…なんでって、こっちのセリフだよ。なんで日サロで肌黒くしたの?髪の毛も金髪なんかにして。」
それじゃあ、まるで降谷さんみたいじゃない。
「んー?だって、姉さんの好きな人だろ?」
「…なんでわかったの。」
「見てたらわかるって、毎日毎日貰った花に顔近づけてさ。」
「いやだからって!前は松田さんの雰囲気になって、今回は上司の雰囲気っ!なんでむっちゃんが容姿真似するんだよ!」
私は脱いだTシャツを弟の顔面に向けて投げつけた。