第5章 デート
なんでため息つくのかわからない。
合コンはしたいけど、それは私たちとは嫌だってことだろうか。
たしかに部下と行ったって素が出せないし、楽しくないか。
「合コン…セッティングしましょうか?」
恐る恐る聞くと、読んでいた資料をバタンと閉じ私を一度睨みつけた。
そして少し考え込んだ。
「うん、それもいいな。夏目。」
「はい。」
「今度の高橋のとは違う合コンとは他に、もう一つ合コン用意してもらおうか。」
「…え。」
「安室透として行くよ。」
「え。ま、待ってください、本気ですか?」
「あぁ、夏目も参加しろよ?男女三人ずつくらいがいい。」
「え、私も参加!?」
「高橋には言うなよ。悪いが年頃の恋人のいない男性の知り合いがいない。」
「…え…あ…じゃあ、私の友人に声掛けときます。」
「頼んだ。」
少し上機嫌の降谷さんをまじまじと眺め、急な提案に寝不足も重なってうまく頭が働かない。
なんせ、もうすぐ朝の4時だ。
「降谷さん…恋人欲しいんですね。」
「…別に。」
「は?」
「しかし安室透はそういったことも必要だろう。」
なんだ。
仕事のためか。
「女性は警察関係者じゃない方がいいですよね?」
「別にどちらでも構わない。何人かは安室透をポアロの従業員として認識している。」
所轄や交通部に恋人募集の女の子の知り合いは山ほどいる。
その子たちに声をかけようか、いやでも、やっぱり降谷さんには警察関係者じゃない方がいいのだろうか。
いやでもーー…
だめだ、眠くて頭が働かない。
私は上司の手前、あくびを噛み殺すように手で隠した。
「こんな時間までお疲れ様。」
ーーー…お疲れ様?
降谷さんに言われたのは初めてだ。
私は驚いて横に立つ降谷さんを見上げた。
「僕だって部下に労いの言葉くらいかける。夏目のこの資料には期待してるからな。」
ポンっと頭を叩かれてそこがじわっと熱くなった。
ーー…少し認められた気がして嬉しかった。