第30章 ヒミツの関係!
会議の資料やらを抱え私はもぞもぞと降谷さんをうかがい見た。
「なんだ。」
「あの…」
「私の机からストッキングの予備を持ってきてくれませんか…。」
私がそういうと降谷さんは私の足元に視線を向けた。
降谷さんに破られ、膝あたりまで破れてしまっていた。
「…素足でいいだろ。」
「いやですよっ…なんか……その…」
普段ならそれでもいいかもしれないが、今回はちょっと違う。
「あの…まだ……あそこに違和感が…あって…」
「…。」
私は膝を擦り合わせた。
さっきまでのことを思い出して私は降谷さんから視線をそらした。
「ストッキングで押さえたいっていうか……、降谷さんが出たら脱ぐので…新しいやつ履きたいです。」
こんなこと言うのも恥ずかしいのだけれど、会議室に予備なんて持ってきてないし、降谷さんの前で破れたストッキングを脱ぐのも嫌だった。
「見ててあげようか?」
「えっ!?」
「冗談だ。」
クソ真面目な上司が真顔で言うと冗談に聞こえないから怖い。
私にこうやって冗談を言ってくるようになったのは、進展なのかもしれないが。
「…しかし、めぐみの机を開けるのを誰かに見られたくないな。」
「いつもみたいに怖い表情でしれっと何か資料を取るかのようにいけば…。」
「いつもの怖い…?」
「言葉のあやです。」
「上司を使うとはな。」
黒い上着を着て降谷さんはふっと私を見て笑った。
「破ったのは降谷さんです…。」
「破るのはロマンだろ。」
「…。」
こんなことも言うんだ…と、驚きながらも少し嬉しかった。
きっとこれが上司の素顔なんだろうなーー…。私だけが知ってる。
「めぐみの机の鍵。」
「あ、はいっ!」
私は小さな鍵を降谷さんの手に落とした。
「横に髙橋や影月がいたら取れないからな。もしいたら買ってくるよ。」
「それならもう我慢して素足でいきます。」
私がそう言うと、降谷さんは目を細め私の足を見た。
「いや。だめだ。待ってろ。」
「…?」
少し強めに言うと、降谷さんは会議室から出ていった。