第27章 どっちが好き?
上司の入院中、ハロは私の家で預かっていた。
「はーろ。ご飯だよ。」
くぅんという返事とともに、リビングから走ってやってくるハロは嬉しそうにガツガツご飯を食べている。
大きな声で鳴かなくなったのは、きっと私がいつも反射でビクッとしていたのが、伝わったのかもしれない。
私にはくぅんと鳴いてくれるようになった。
ーー…かわいいじゃないか。
「今日はご主人様が退院する日だよ。…と言っても、まだまだ全快ってわけじゃないから、ハロはもう少し私と一緒ね。」
食べ終わってペロペロしてるハロに向かって言うと、返事をしたのか小さく“わふっ”と言った。
午前中退院と言っていたので、迎えに行かなくちゃ。
まだまだ運転できる状態でもないだろう。
「ハロ、いい子に待っててね。」
頭をわしゃっと撫でてから、私はハロにそう言った。
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病院の駐車場で待っていると、ロビーから荷物を持った降谷さんが見えてきたので、私は車から降りて出迎えた。
「悪いな。」
「いえ、荷物持ちます。」
「そのくらい自分でする。」
「まだ抜糸もしてない状態なんですよね?傷が完全にくっつくまでいい子にしてください。」
荷物を降谷さんの手から奪い取ると車に乗せた。
「…いい子。」
「ほら、車どうぞ。」
「しばらくは私の家でいいですよね?」
「……は?」
「組織の仕事も喫茶店もキャンセルしてるんですよね?」
「…あ、あぁ。」
「じゃあ、とりあえず普通に動けるようになるまで、うちにいてください。」
「待て。」
車で我が家に向かいながらそう言うと、降谷さんはすこし抵抗感を示した。
「何かありますか?」
「……。」
「食事や家事などはおまかせください。栄養たっぷりのご飯作りますし、まずは降谷さんにはさっさと動けるようになってもらいたいんですよ。」
「…栄養を考えられた食事は魅力的だな。」
「降谷さん…いないと……。」
チラッと助手席に座る上司を見た。
「僕がいないと…嫌か?」
「はい。仕事が溜まるし、スムーズに働けないんですよ。早く復帰してください。」
「…あぁ…そうだな。」