第25章 銃弾
ただカウントダウンしていくタイマーの横で私は弾を手のひらに乗せ、震えていた。
「で…出来ない。だってこれは…降谷さんにとってーー…。」
「めぐみ。めぐみがリボルバーを使いたいと言ったことも偶然なんかじゃなかったんだ。松田とめぐみが知り合いだったこともーー…。」
私は首を振った。
「ここから出ましょう…まだ間に合うーー。」
「これは確かにヒロの心臓を貫いた銃弾だ。ヒロなら…あいつなら御守りなんかに持ち歩くよりきっと生きるために使えと言う。そう言うやつだ。」
降谷さんは優しくふわりと笑った。
私は弾をぎゅっと握りしめ目を閉じた。
ーー…降谷さんの大切なもの。
「無駄にはしません。」
私は意を決して服を脱いだ。
「お、おいっ!」
上着を脱ぎシャツも脱ぎ、ブラジャー一枚になると、その服をワイヤーに巻きつけた。
ゼロ距離でワイヤーを撃てば確かに切れるかもしれないが、弾の形が歪んでしまうだろう。だからと言って、離れて撃てば跳弾してどこに行くかわからない。
「めぐみっ!」
「いつも…鬼みたいだし、笑わないし、こっちの都合なんて全然合わせてくれないし…。もう何がいいのかわからないのだけれど。」
「…。」
「だけど…誰よりも優しくて、いつも仕事に直向きな降谷さんが…私好きです。」
私は血を失って蒼白な降谷さんの両頬に手を伸ばしそっと自分の唇を降谷さんに押し付けた。
すぐに離れると、私はたった一つの銃弾を自分のリボルバーに込めていった。
「…少しお借りしますね。大切な御守り。」
数歩下がると、自分の服に包まれたワイヤーに向かってゆっくりと銃を構えた。