第4章 苦手でも
夜、報告書を書き終え、事件の資料をまとめていると執務室のドアが開けられた。
「お疲れ様です。」
「あぁ。」
風見さんに言われいつものごとく、短く返事を返す降谷さん。
席に付き、資料に目を通し始めた。
今日の報告書とポアロでのことを話さなくてはと、私は席を立った。
「降谷さん、今日はありがとうございました。1回目でスムーズに渡せずすみません。」
「…いや。」
くっと眉間に皺を寄せ、降谷さんは私から視線を逸らしパソコンの画面を見つめた。
「どうだった。」
「?」
どうだった?
降谷さんの作ったカフェオレもケーキもお世辞抜きで本当に美味しかった。
「お腹タプタプになりましたが、とても美味しかったです。」
「…っ。」
ばっと視線を逸らし、ついに降谷さんは私とは真反対を向いてしまった。
震える降谷さんの後頭部。
「…?」
しばらくしたら、降谷さんはまた不機嫌な顔に戻り座ったまま私を下から睨みつけた。
「そうじゃない。こうやって伝達する仕事はどうだったかと聞いてるんだ。」
「あ。すみません。」
ケーキの味じゃなく仕事の話だったか。
当たり前だ。
「初めてだったので緊張しましたが、次はもっとスムーズに受け渡ししたいと思います。」
「そうだな。今回は君がうまくできるか少しテストも兼ねて、本当は急ぎでもなんでもないものを風見に頼んだんだ。」
「そうだったんですね。」
USBの確認なんてあそこで渡したところで、ポアロの仕事が終わらないとどうせすぐ見れないのに、そんなに急ぎなのだろうかと、すこし疑問に思っていたのだ。
私の訓練も兼ねていたのか。
「まぁ、変装、他の店員への話し方、及第点だろう。」
「ありがとうございます。」
「しかし…、少し僕や梓さんを見過ぎだ。」
「すみません。ですが、あれだけ素敵な美男美女はきっと誰でも見てしまうので不自然ではない無いかと思います。」
「………。」