第22章 言葉でちょうだい
最後、降谷さんの後ろを歩く黒田さんが私の方を振り返り私を見てきたが、私は気づかないふりをした。
ーー…ば、バレてないよね。
ダメだ。やっぱりこんなことしちゃ。
「なぁ。」
「ぎゃぁぁあ!!」
「びっくりした。」
反対側から急に声をかけられ、私は飛び上がった。
「た、高橋っ!急に話しかけないでよ!」
「公安のくせに油断するなよ。」
「うるさいっ!」
アップルジュースの蓋をしながら、私は心臓を押さえた。
「降谷さんと…付き合ってんの?」
「…ばっ!?」
「ば?」
「いやいやいや、付き合ってないですよ。何言ってるんですか。」
「動揺がすごいんだけど。いや、だってさっきとか距離近くない?キスしてんのかと思った。」
「しっ、してないよ!昨日のことで…その…言えないことがあったから…コソッと報告してただけ。察して。」
誤魔化すようにごにょごにょと言ったが、さっきの自販機前での私達は確かに近かった。
報告するにしてもあんな距離で普通はしない。が、そう言うしかなった。
「…それに、降谷さん恋人いるしね。」
「えっ!?」
「だから、私は付き合ってないし、上司とそういう関係になるつもりはないです。」
「えー?でも降谷さん前恋人いないって言ってたぜ?」
私にもそう言った。
でも…。
「言えないんでしょ。わかってあげなきゃ。」
「…んー?あぁ、もしかして職場恋愛とか?」
「私は何も言いません。じゃ、仕事戻るから。久しぶりの本庁だから、やることいっぱいなの。」
「あ、そのことで、また頼みたい仕事あるんだよ。」
「駅前のラーメンね。」
前と同じように私はニヤッと笑って髙橋に言った。
「はいはい。」