第16章 上司 降谷零の誤算
「では、こちらのリストを見てください。」
風見に言われ、映し出されたプロジェクターの大画面に視線を向けた。
高橋がリストを解説しながら次々とページを巡っていった。
容疑者の関係者から、過去の犯罪歴、それぞれわかりやすくまとめられていた。
「いいな。」
「は?降谷さん何かおっしゃいましたか。」
「わかりやすい。やるじゃないか高橋。」
「あ、すみません…。これは俺が作ったんじゃないんですよ。」
「何?高橋、この案件を他の捜査官に漏らしたのか。」
「リストだけです!どんな組織だとか、捜査内容は漏らしてません!」
風見に言われ高橋が慌てて言った。
確かにあまり褒められた行為では無いが、それ以上にこのリストはこれから重宝するはずだ。
「傾向と対策が立てられる。いいな。公安部の人間か?」
「はい、俺の同期で過去の捜査資料とか結構覚えてて、そいつに頼む捜査員は結構いるんですよ。」
「ほぉー。」
キーボードをタップして、ページを送っていく。
カラーにフォントに人に見やすく作るのに才能がある。
しかも僕が高橋に任せたのは一昨日だ。
「二日でこのクオリティだ。」
「あ…いや、実は昨日の夜に頼んで、今日の昼には貰ったので…。」
「ほぉー。」
欲しいな。
単純にそう思った。
僕が足で動けない分、他の人が捜査したものを資料化して報告してもらわないといけない。
それをどう見るかによって大きく捜査の仕方も変わる。
「高橋の同期と言ったか。」
「はい、夏目と言います。」
タンっとエンターキーを押してページを送る。
『公安ならこのくらい自分で作れバーカ』
最後のページにデカく書かれた文字。
会議室にいた全員が映し出されたその文字を黙って見つめた。
「ほぉー。」
「いや!降谷さん!これは俺に対して言ったんだと思います!俺が頼んだんで!そーいうふざけるやつなんすよ!!」
変なやつ!
面白いやつ!
と、懸命に弁明する高橋を無視して僕は画面の文字を見つめた。
ーー…面白いやつか。