第13章 策略
何か重要な事を言われるのではと思ったら、“ご飯ありがとう”だけだった…。
…携帯からでよくない!?
ズルズルと座り込んで私は声を出さないよう一人悶えていた。
くっそ上司!顔がいいからってただのセクハラじゃないか!
何が腹立つって……心底嫌がってない自分だ。
好きとは違うけれど…、わからない。
歴代の彼氏に対してこんな感情湧いたことがない。
「ぅぎゃーー!」
資料室で私は一度だけ感情を爆発させて一旦落ち着かせてから、部屋を出た。
盗聴されてたって知ったことか!
私は自分の席に着き、邪念を払うため自分の銃の手入れを始めた。
一度解体し、ガンオイルで拭き、銃身を綺麗にし、歪みなどの点検をして組み立て直す。
昔教わってから手入れの楽しさに目覚め、心を真っ白にしたい時はしょっちゅうやっていた。
ガシャガシャっと言うと音が好きだ。
最後綺麗に拭き取り、手のひらで全体を確認する。
「よし。」
精神統一。邪念はさよなら。
私は銃をしまい、先程途中だった会議の資料をホッチキスで留め始めた。
「弁当美味かった。さんきゅーな。」
「邪念!!」
後ろから話しかけられて私は机を叩いた。
「なんだよ。」
「…高橋か。ごめん。」
「邪念?」
「なんでもない。」
お弁当って話しかけられてさっきの降谷さんとの出来事を思い出しました。なんて言えるはずがない。
「張り込み切り上げるの早かったね。」
「おー、今日はな。」
バタバタと荷物をまとめすぐにでも出て行こうとする高橋を見上げた。
「もう行くの?お弁当箱、忙しいならそのまま貰うよ。」
「あー、じゃあお願いしていいか?」
「うん。」
高橋は弁当箱…というより保存食入れとくようなタッパーの入った紙袋を私に渡すと、忙しそうに公安部の部屋から出て行った。