第11章 組織
車から出ようとしたけど、私はじっと降谷さんを見つめた。
「…降谷…さん。その…。」
お礼を言いたい。
さっきの態度を謝りたい。
…でも、上手く言葉が出てこない。
「…そんな顔しなくていい。夏目は自分の信じた正義を貫いてきたんだろう。」
「…っ。」
頭をくしゃっと撫でられた。
「泣かないって決めたんです…っ。全部解決するまで。絶対。…でも、進めたことが嬉しくて…っ…。」
涙をぐっと我慢する顔はきっとぐしゃぐしゃだ。
「ブサイク。」
そう言って降谷さんが笑った。
私の頭にあった手が撫でていき頬を撫でた。
目に溜まった涙を引っ込めたくて目を閉じると、むにっと唇になにかが当たった。
「…!?」
びっくりして目を開けると近くに綺麗なブルーの瞳。
ゆっくりと私から離れた。
「あ。」
「…え?」
あ。って何だ。
お互いに驚いた顔で目をパチクリとしている。
「つい。まぁこれで涙引っ込んだだろう?」
「…へ?」
ーー…今、き、キスされた?
「と、とにかく。梓さんのところに行こう。ポスターを数枚でも貼らないとおかしな話になる。」
「…。」
降谷さんは私から目を逸らすと、車から降りた。
私も車から降りて、降谷さんを見つめたが降谷さんは私を見ようとしなかった。
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お互い無言のまま商店街に向かって歩いていると、丸めたポスターを抱えた梓さんが私たちに気付いて大きく手を振っていた。
「めぐみさーん!安室さーん!」
「お手伝いに来ました。」
「ありがとうございます、安室さん。」
「めぐみさん、見てください!これが商店街に貼られるんですよ?すごい!」
「青の発色気になってたんですけど良い感じですね。よかった。私も貼りますね?」
梓さんから数枚受け取ると電信柱に貼ったり、パン屋さんに挨拶をして貼らしてもらったりしていった。