第5章 薫ちゃん
そして帰り道…
不二「涼子さん?」
「何よ??」
不二「僕の事…ちゃんと名前で呼んでよ。」
「何を今更…」
不二「前から言ってるじゃないか。海堂君の事は薫ちゃんって呼んでるくせに…。」
「あんた…もしかしてヤキモチ妬いてるの?」
不二「そうだけど?」
「……ここは普通、『そんな事ないよ…。』とか言うもんじゃないの??」
不二「嘘つく必要ないでしょ?…涼子さん、周助って呼んでよ…。裕太のことだって…由美子姉さんのことだって名前で呼ぶのになんで僕だけ『あんた』なのさ……。」
不二は少し涙目になり涼子の顔を見つめる。
「ゔっ…………」
不二「ね?周助でも周ちゃんでもいいから………。」
「………………周助。」
根負けして涼子は照れながら小さな声で名前を呼ぶ。
不二「……声が小さいな。」
「………周助って言ってんでしょー!!」
不二「そんな大声で叫ばないでよ。」
「あんたが声が小さいって文句言うからじゃん!」
不二「そうだけどさ……周りにいる人に涼子さんが僕を初名前呼びしたところ見られてるよ?」
周りを見ると部活帰りの生徒に見られていた。
「………私、先帰るわ。」
そう言うと涼子は早歩きでその場を去る。
不二「えっ!?涼子さん?置いていかないでよー!」