第14章 不器用な優しさ 【岩泉一】
「あー、もう!行くぞ優希」
照れたように私の手を引っ張った。
「ッ…!!い、岩ちゃんっ!?」
「ば、バカ!!これは迷子にならないためだ!!お前方向音痴だからはぐれたらめんどくせぇんだよ…!!」
その言葉に涙が溢れた。
面倒臭い……か。
わかってる。これが岩ちゃんの本心じゃないって。
わかってる。こんなのただの照れ隠しだって。
なのに、なのに。
どうして涙が溢れるの…?
急に立ち止まった私を不審に思い、岩ちゃんが振り返る。
「おい優希…?ッ…!!!お前、なんで泣いて…!?!?!?」
岩ちゃんは困惑しているようだ。
そして、優しく私を抱き締めた。
「岩ちゃん…?」
「…ったく泣くなよ。折角の可愛い顔が台無しだぜ?俺は、お前の笑った顔が見たい。」
どうやら今日の彼は、いつにもまして甘い言葉を捧げてくれるようです。
「だって、岩ちゃんが面倒臭いって言うから…」
「…!?!?そ、それはその、照れ隠しっつーか、心配って意味で…」
「だー!!もう!!だから俺は、
お前のことが好きなんだよ!!!」
その言葉を聞いてもう一度涙が溢れる。
「お、おい…そんなに嫌だったか…?」
「違うの!!その、嬉しくて…」
「私も岩ちゃん…ううん、一が好き。」
そう言って私も抱き締め返した。
☆
その頃及川達は…
及「あれ、岩ちゃんと優希ちゃんじゃん。」
国「あ、抱き合ってる。面白いから撮っとこー」(カシャッ
花「お、その写真俺らにも回せよ」
国「了解です。」
こんな会話をされているとは知らない岩泉達であった。
*不器用な優しさ*
君の分かりにくい優しさに
私は今日も恋をする。