第14章 不器用な優しさ 【岩泉一】
待ち合わせ時間まであと30分。
「少し早く着きすぎたかな?」
今日は岩ちゃんと夏祭り。
一緒に行こうと無理矢理誘ったのだ。
そして今日、彼に告白する。
あぁぁー既に緊張してきた…!!!
待ち合わせ場所に着くと、既に岩ちゃんがいた。
え?だってまだ30分前だよ…?
時間をもう一度確かめてみたが、やはり待ち合わせ時間にはまだ早かった。
「岩ちゃんごめん!!おまたせ…!!」
私は岩ちゃんに駆け寄った。
すると岩ちゃんもこちらに気付いたらしく、こちらを振り向いた。
「おう、優希か。別に俺が早く来すぎただけだから気にしなくていいぜ。それに、お前に早く会いたかったから…」
最後のあたりは聞こえるか聞こえないかぐらいの小さな声だったが、私にはよく聞こえた。
「あー、あと!」
話題をそらそうと頑張っている岩ちゃん。
「浴衣、似合ってるぜ。」
「!?」
岩ちゃんの言葉に驚いた私だったが、それ以上に本人のほうが驚いているようだ。
「あー、いやっそのこれは…!!」
顔を真っ赤にしながら必死に弁解しようとしている。
ねぇ
期待してもいいですか…?