第2章 この手が届く距離【日向翔陽】
「日向くーん!!いるー?」
只今昼休み中。
昼休みは日向君のクラスに遊びに行くのが私の日課だ。
「おー優希今日も来てくれたのか!!」
日向君は無邪気な笑顔を向ける。
その笑顔がとても可愛くてこっちまで笑顔になってくる。
「日向君は今日も可愛いなぁー!!!」
そう言って私は日向君の頭をなでる。
私と日向君の身長差はわずか5cm。
だから手が届いてしまうのだ。
頭を撫でるといつも日向君は困ったような顔をする。
「えっと、俺子供じゃないよ?」
「わかってるよー。でも可愛いんだもん。」
「んーと、俺女でもないよ??」
さっきから会話があまり噛み合っていないところが天然でまたかわいらしい。
「…わかってないよ。だから、教えてやる。ついてこいよ。」
そう言って私の腕を引っ張ってどこかに歩き始めた。
「えっどこに行くの!?!?」
「内緒。」
彼はそれだけ言うと、もう何も答えてくれなかった。
ついたのは空き教室。
日向君が扉を開ける。
…って開いてるの!?
不用心だなぁ…。
なんて思っている場合ではない。
日向君がジリジリと歩み寄ってくる。
私は条件反射に後ずさりをする。
しかし、とうとう私は壁に追いやられてしまい、逃げ場が無くなった。