第12章 *夏祭り 【及川徹】
今日は待ちに待った花火大会。
只今及川君と待ち合わせ中ー…
待ってる時間もなんだかドキドキするなぁ…
今日のために慣れない浴衣を着て、髪もアップにしてきた。
変じゃないかな…?
可愛いって思ってもらえるかな…?
不安と期待を抱きながら、及川君を待つ。
すると
「優希ー!!お待たせ!!」
前方から及川君がやってきた。
私は走って及川君に駆け寄る。
いや、駆け寄ろうとした。
慣れない下駄を履いたせいで、躓いてしまった。
「うわっ…!!」
倒れる…!!と思った瞬間、及川君が抱きとめてくれた。
「おっと、優希ちゃん大丈夫!?」
「あ、うん大丈夫…あ、ありがと…」
私は恥ずかしくなって咄嗟に離れる。
「もう躓いたりしないように、俺が手握っとく。」
そう言って私の手をぎゅっと強く握る。
あの、地味に恋人つなぎなのですが…!!!
そのことに気づいた私はカァっと顔に熱が集まるのを感じた。
それと同時に、こんなことをさらりとできちゃう及川君は、やっぱり女の子慣れしてるんだなぁ…と感じてしまって少し寂しくなる。
「?どうしたの?具合でも悪い…?」
「!!ううん、なんでもないの。ありがと」
いけないいけない。
今は及川君とお祭りを楽しむことに専念しなきゃね!!