第10章 *カミナリ 【澤村大地】
ふと大地の顔を見ると、なんだか少し悲しそうな顔をしていた。
「あ、あの…大地?」
「ん、あ、いや…さ?その…」
大地が言葉を濁す。
「?どうしたの?」
「…幼馴染なのに、お前の事全然わかってなかったから…なんか…悔しいなって」
大地の顔がますます歪み、唇をかみしめる。
「別に気にしなくていいんだよ?私が教えてなかっただけだし…」
「お前がよくても俺が気にする。…今まで、雷の時はずっと1人だったんだろ?…もっと早くから…守ってやりたかった。」
そう言って私を抱きしめる。
「ごめん…大地の迷惑になると思って…私…」
「好きなやつに頼られて迷惑だなんて思うやつっている?」
その言葉に耳を疑った。
「え…?」
「ずっと黙っててごめんな?実はお前の事、もう幼馴染として見れなくなっちまった。」
「優希が好きだ。」
大地の私を抱きしめる力が強くなる。
なんだか信じられない。
だって私は・・・
ずっと大地に片想いしてきたから。
「嘘、つかないで…」
「嘘じゃないよ。」
「でも!!」
次の瞬間、私の口に柔らかいものが落ちてきた。
それは
大地の唇。
「…これでもまだ、信じられない?」
私は静かに首を振った。
*カミナリ*
雷は苦手だけど、
キミがいてくれるなら怖くない。