第5章 *作戦 【月島蛍】
「で、優希は山口のこと、好きなわけ?」
「え…?」
予想外の質問が返ってきた。
どうしてそんな質問をされるのかわからなかった。
「何、もう僕のこと嫌いになった?だったら逃げるのは今のうちだけど」
「そんなことない!!」
私は気がつけば叫んでいた。
「私が蛍君のこと嫌いになるわけないじゃん!!冗談でもそんなこと言わないでよ!!」
今日の行動をそんな風に思われていたことが悔しかったんだ。
「じゃあ…」
消え入りそうな声で蛍君が言った。
「じゃあ、なんで今日山口といちゃついてたの。」
その言葉にハッとした。
まだ、作戦のこと言ってない…。
私は作戦のことを言う決意をした。
「だって、だって!!蛍君全然恋人らしいことしてくれないから!!私の事ホントに彼女だと思ってるのか、私の事好きなのか、わかんなかったんだもん!!だから、だから…」
そこまで言って、嗚咽で言葉が出なくなった。
そんなわたしを見て、蛍君は優しく私を抱きしめた。
急に縮まる距離。
蛍君の匂いが私を安心させる。
「ごめん。優希がそんな風に思ってたなんて知らなくて…」
蛍君の頭を撫でる手がやさしい。
「僕、怖かったんだよ。手とか握って嫌われないかなーとか、デート誘って断られたらどうしようとか。」
いつもの蛍君らしくない回答がきた。
「優希が僕の初めての彼女だから、そうゆうのわかんなくて。優希を失いたく無くて…。まぁ、それが空回りしちゃったみたいだけど。」
私はその言葉を聞けただけで十分だった。
蛍君も、同じ気持ちだったんだ。
それが知れたのだから、この作戦は成功…かな?
私は蛍君に強く抱きついた。
*作戦*
キミの気持ちが知りたくて
キミにヤキモチ妬いて欲しくて必死に頑張った。
でもね今度は作戦なんかなくても
キミの気持ち、暴いてあげる。