第1章 退屈な生活を終わらせたい
ナターシャはいつも頬杖をついていた。
「誰にももらわれないなんて不幸なあたし。」
窓際に座ってため息をつく。
肌は色白く一見青白くも見えてしまう。真っ黒な髪の毛は縮れていて短くカットされている。前髪に銀色のピン留めが光る。そして漆黒に輝く目は窓から外の景色を眺めていた。
他の子供達は外でボール遊びや縄跳びをしているがナターシャは気が進まないのか窓際に座って外を眺めるだけ。
「皆んな、単純よね。どうして純粋で無垢な子供を演じなきゃいけないの?」
ナターシャはため息をついた。孤児院で仲のいい子なんていない。他の子は流行りの話をしたり一緒に遊んだらしているけど、ナターシャは違った。
人と同じことはしたくない。それが彼女の思いだった。だからどんなに皆んなの間で流行っていても流行りのものには決して乗らない。流行りの歌よりも昔の歌が好き。テレビで今見るポップスターよりも昔に輝いていたポップスターの方が好き。だから皆んなと意見が合わないのかもしれない。彼女も皆んなに合わせようとはしないし、皆んなも彼女に合わせたりしない。
食事は同じテーブルで皆んなと食べるけど特に会話をすることなく黙々と食べた。
「ごちそうさま。」
そう一言言ってナターシャは食器を下げに台所に向かった。