強くて、脆くて、可愛くて【東リべ夢】〘佐野万次郎夢〙
第4章 守りたいモノは
やっぱり私には、この人が必要だ。
「私は万次郎みたいに、力もないし無力だし、どうしたって足でまといになっちゃう。でもね、弱さも脆さも受け入れて、一緒に泣く事は出来る」
万次郎は何も言わない。
「私だって、万次郎がいなきゃ駄目なんだよ? 万次郎と一緒にいられるなら、傷ついたっていい」
「俺はお前が傷つくのは、嫌だ」
こんな優しい人が、悲しむのは、不幸なのは絶対駄目だ。
「なら、傍にいて。傷つかないように、万次郎が守って。一度捕まえたなら……簡単に、離さないで……」
万次郎の体から、少し力が抜けた気がした。
「周りが傷つかずにいられても、代わりに万次郎が傷ついていいわけないんだよ? 万次郎が一人で抱えて苦しんでるのなんて、誰も喜ばないし、そんなの誰も望まない」
顔を上げたら、涙に濡れた顔が視界に入る。
「私は、万次郎と一緒に幸せになりたい。万次郎が一緒じゃなきゃ、幸せになんてなれないよ」
万次郎の両頬を両手で包んで、額をくっつける。
万次郎の瞳が揺れて、潤む。
「お願いだから、一人で抱えないで。甘えてちゃんと弱音吐いて泣いて、いっぱい頼ってよ」
「お前は……強いな……」
「当たり前でしょ。だって“無敵のマイキーの女”だからね」
言って笑った私に、万次郎も泣きながら笑った。
唇が重なる。
涙の味がする、少し切ないキス。
「……愛してる……もう絶対、離さない」
「約束だよ。嘘はなしだからね」
触れるだけのキスの後、私も「愛してる」と囁いた。