強くて、脆くて、可愛くて【東リべ夢】〘佐野万次郎夢〙
第3章 もっと近くで
まるで、知らない人みたいに“男”の顔をしていた。
「震えてる……俺が、怖い?」
「……ううん……万次郎は、怖くないよ。ただ、初めて、だから……それが少し、怖いかな……」
万次郎を怖がるのは違う。
だって、彼はこんなにも優しく触れて、甘く囁く。しかも、その表情は凄く、艶やかで、いやらしい。
「普通の男なら、やめるとかかっけー事言うんだろうけど……俺はちょっと無理だ……こんな美味そうなもん目の前にしたら、止めらんねぇ……」
小さく「ごめんな」と頬を紅潮させながら苦笑した。
私は万次郎の頬に手を伸ばして、ゆっくり撫でる。
「いいよ……嫌なら、最初から許可しないよ」
「優しくする」
言って、優しい笑みで見つめる彼の目に吸い込まれるように、ゆっくり唇を合わせた。
舌が、燃えるように熱くて、体にまでその熱が移る。
貪るように唇を重ね合わせていると、器用に服が脱がされていく。
彼は、こういう事に慣れているんだろうか。
「……何、考えてんの?」
「えっと……万次郎は、その、シた事はあるの?」
「ん? ないよ。喧嘩ばっかしてたし、小学校の頃にエロ本見たりしたけど、特にシてぇとか思わなかった。ダチとツルんでバカやってる方が楽しかったしさ」
世間話みたいな事をしながらも、彼は脱がす手は止まらなくて。
「それに、みたいな、俺のモンにしたくなった女がいなかったしな」
「それ、結構嬉しいね」
初めて口説かれるみたいな感覚で、じゃれるみたいに額が重なる。
「話はここまで……な」
「ぁ……」
服を脱いだ肌が空気に晒され、恥ずかしくて両手で体を隠すけど、万次郎の手がそれを許してはくれなくて。
「全部見たいんだから、隠すなって」
「で、でも、やっぱり恥ずかしっ……んぁっ……」
「そのうち恥ずかしさなんてなくなるよ」
下着も全て脱がされ、生まれたままの姿で万次郎の手に撫でられて、いやらしく体をくねらせた。
目の前で、私に跨った万次郎が上の服を脱ぎ捨てる。
意外と引き締まった体に、ドキリとして興奮を促す。
脚がゆっくり開かれ、人に見せるなんて事が普通なら有り得ない場所が晒された。
「あ、あんまり、見ないでっ……」
「やだ」
簡単に却下して、股に顔を埋める。